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いきなり泣き出しちゃった事件


<桜がいきなり泣き出した>

 今日は「いきなり泣き出しちゃった事件」というタイトルでお話しようと思うのですが、実はこの泣き出しちゃったのは・・・私自身です^^;

 あれは、銀座のクラブに勤めて3ヶ月くらいたったときのことでした。お店にも慣れてきたところなのですが、その頃ちょうど私は、お客様とのやりとりに悩み、夜の時間帯の仕事ということで体にも負担がかかってきていました。

 また、3ヶ月目というのは、ノルマのつき始めでもあり、お店側もちょうどそのホステスがこのお店にとって必要かどうかをみられる時期でもあります。つまり、クビを切られるか否かを見られるときでもあるのです。他にも、入店時の条件と話が違う方向になっていたり、お給料が保証給より足りなかったという理由でも悩んでいたりしました。

 このような多方面からの悩み・不安を抱え、プライベートもあまりよくいっていないということもあり、当時、私は精神的に不安定になっていました。

 そんなある日のことです。とんでもなくお店が忙しい日がありました。お客さんが次から次へとひっきりなしにやってきて、お店はずっと満席状態、ホステスは次から次へとお客様のところについていきます。

 黒服も忙しいのでホステス一人一人に気を配っていられなくなってきました。そして、閉店時間を過ぎた12時半頃・・・

 まだまだたくさんのお客様の熱気に包まれている店内で、私の精神状態は限界を超えました。何が何だかもわからず急に心が苦しくなってきたのです。涙がでそうででそうで、耐えられなくなってきたのです。本当に急だったのでどうしてそうなったのかも、どうしてこんなに涙がでそうになったのかも自分のことなのにまったく理解できませんでした。

 そして、次のお客様の席につけようとした黒服に「今日はもう席につけません」と言った瞬間彼は忙しいので「いいから早くあの席に行って!」と返しました。その一言で涙があふれはじめ、次から次へとどんどん顔をつたって涙が流れはじめました。

 泣きやもうと思っても泣き止むこともできません。とにかく、ただただ涙がでてきてこらえられない状態になっていました。だからといってお店で立ち尽くしているわけにもいかず、私はとっさにお店のトイレにかけこみました。そして、トイレに閉じこって一人で泣いていました。

 しばらく泣いて収まってきたころ、”まだお店は忙しいから、今日はこのまま帰ろう”と勝手に帰宅することを決め、トイレを出ようとした瞬間です。副社長が「桜ちゃ〜ん、そこにいる?」と声がかかり、出ようかどうか迷いましたが恐る恐る私はトイレのドアを開けました。

 すると、「大丈夫?今、ちょっと外でようか。」と言って、まだお店が忙しいのに私を外の喫茶店に連れだしました。そして、喫茶店に着いて副社長はまず「お店が忙しくて、バタバタしてたから、スタッフ側が冷たい対応になってしまってごめんね。」と私に謝罪しました。

 それから、私はコーヒーを飲みながら少し落ち着いて副社長に今の悩み、お店に対する不満、不安なことなどを全て話しました。すると、副社長は私の思いを全部受け止めてくれできる部分はすぐに改善することを約束してくれました。

 最後に「お店が忙しいときにご迷惑をおかけして本当にすみませんでした」と私が言うと、副社長はこう言いました。「お店も大切だけど、桜ちゃんのことも大切なんだからね。お店は桜ちゃんを必要としているんだから。また明日笑顔でお店に来てね。待ってるから。」

 この言葉を聞いて、私は心が熱くなりました。私はこのお店に必要とされていたんだということ。お店のとてもとても大切な収穫のとき(忙しいとき)に私一人のために時間を割いてくれたこと。こんなお店に迷惑をかけた私に明日もおいでと言ってくれたこと。

 様々な思いが心に響く言葉でした。それと同時に私は”このお店で働けてよかった”と心から思いました。

 もう何年も前のお話ですが、このときのことは今でも鮮明に私の頭に焼きついています。”このお店で働けてよかった”と感謝しました。

 シビアな銀座の世界で一日たった4時間という短い営業時間の中、私のための時間を持ってくれたこと、副社長のあの言葉、これからもずっと忘れない思い出になると思います。






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